2016年3月3日木曜日

紅葉のごとく

真田忍軍とも言われる吾妻衆の末裔で、その教えのかすかな残照を伝えていたと思われる僕の祖母が、得意技として、子供のころから投げていた手裏剣術があります。

その要訣の中に(僕が知る限りでは)他ではあまり見かけないものが幾つかあるのですが、その中に(紅葉の捻り)と言って打剣する際に手の内をきつく捻るというのがあります。
でも・・・これを守って打つと、これが全然当たらない。刺さらない。
...
十字と違って、真田の古忍が投げていたのは飽くまで棒手裏剣ですから、少しでも捻りが加わるともう先端にスピンが掛かってしまい、結果手裏剣は腹を打って無残にもボトリと落ちてしまうのです。

逆に、祖母の言った通りにしないで、平に持って直ぐ打ちしたほうが遥かに真っ直ぐ、気持よく刺さるのです・・・ですから最近は諦めもあって「あれは多分手裏剣の繰りの際の動作が様式として残っただけで、打法自体とは関係がない、もしくはむしろマイナス要因なのかもしれない・・・」と思って、他流のような手の内で投げたりしてお茶を濁していたのでした。

・・・が、今日の稽古で、それはやっぱり、自分の未熟さを棚に上げた、浅はかな考えだったということに気が付きました(;´Д`)

圓月の表と呼ばれる投法を訓練していた時、何か纏まった感じがあったので、ふと後ろを見てフォームを確認すると、いっぱいいっぱいに伸ばした腕が、肘の先から逆に捻られ、指先まで反りかえるほどにストレッチが掛かった状態で手裏剣を手挟んでいることに気が付きました。


順逆にキュウキュウに捻られた腕は、まったく遊びがない状態で、腕だけがわがままを言って何かするような弛みはちょっともございません。それ故に身を使って、ブレのない軸移動を心掛け乍らフォームを大切にして投げてみました・・・すると、急に今までにないような深さ、強さ、正確さで手裏剣が刺さりはじめたのです。これは嬉しかった!

すぐに鉄、ステン、串、箸などいろいろ投げて試しましたが、一本の箸などはベニヤの壁に突き刺さってしまいました。

そしてうまく刺さった時の手の内の形は、もう本当に祖母の舞踊のような手の形と瓜二つになっているのです(^O^)/

「ああ、これだったんだ!」という感動も、もう少しで伝統を誤るところだったという自己嫌悪にナカナカ打ち勝てず、一時間以上頭を真っ白にして投げ続けましたが、全然肩が痛くならないのがまた面白い。筋肉を順逆に締めて使うので、局部的な力が加わらなかったのだと思いました。

さらにそれが違うフォームでも使えるのかと思い、早速実験。ギリギリまで絞った腕を更に折りたたむことで、ポテンシャルを保持させたままフォームを小さくし、弧月の形で打ってみたところ、これも同様のクリーンヒット!今日は自分手裏剣史上最高の結果となりました。

そして案の定というか、意外というか、ふたを開けたら、お婆ちゃんがやっていた(紅葉の捻り)そのまんまの何気ない形に落ち着きました。ヤッパリ・・・(;・∀・)

・・・何というか、まだまだ伝統的な教えの本意って、読み解く人を待っている(ビジー)状態でいるのかもしれませんね。そのまま失われたり誤解されてしまった教えも沢山あったことでしょうね・・・猛烈に反省&また一つ祖母に教えられた気がした今日の稽古でした。

(でも相変らず手裏剣の腕はへぼです。あくまでも当社比なのでそこんとこ( `・∀・´)ノヨロシク)

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